新設、公安特殊部隊G
2002年12月1日久しぶりの休日。
私は新宿へと足を運んだ。
ノスタルジックな、感傷に浸る事を毛嫌いしていた私が、ゴールデン街へと足を運んだ。
本気で日本を変えられると、若さに任せて突っ走っていた頃、
よくココで、メンバーと酒を酌み交わした。
過ぎ去りし時代の、思い出の場所だ。
一哉の情報を探す為と、自分に言い訳するものの、実際は自分で消した過去との繋がりを探しているのだ。
そこで、思わぬ人物と遭遇した。
G。
民改の中心的存在だったGが、焼酎を浴びるように飲み、酔いつぶれていた。
「おい!」
私が声を掛けると、焦点の定まらない眼を向け、じっと私の顔を見つめた。
声を掛けた人物が、私だと理解したらしく、目に見えて酔いが醒めたようだ。
「ウサギ…」
「おい!どうしてお前が、公安特殊部隊を率いているんだ!
俺達に説いていたあの言葉はウソだったのか!」
「ウソなものか!ただ…」
「…ただ?なんだ?」
「ウサギは知らなかったかもしれないが、あの頃の俺は、内ゲバで命が危なかった」
「内ゲバだからって、命までは…」
「…お前、本気で言っているのか?本気で女帝尾上が、
命までは取らないと言っているのか?」
その言葉に、私は口をつぐんだ。
「お前も知っての通り、俺は当時、お前が付き合っていた遼子に思いを寄せていた。
麻奈美から付き合う事を強要された時、好きな人がいると言って断った。
それ以後、俺は明らかにメンバーから孤立させられていった」
「大倉は、味方になってくれなかったのか?」
「あいつはダメさ。尾上から一哉との仲を取り持つ事を条件に、女帝側についちまった。
結局、俺が抜けた後、尾上が一哉との仲を取り持たなかったのは大方の予想通りだが、
恋する乙女には、約束が反故にされる事は予想できなかったらしい」
「でも、どうして特殊部隊に…」
「そこさ。政府は俺達の猛攻に手を焼いていたのは事実だ。
機動隊の人員が減る割に、新規の隊員が育つには時間が掛かる。
そこで考えたのは、改革側のメンバーを機動隊員にしちまう事だ」
「まさか…」
「まさかも何も、現に俺が公安にいるんだから本当さ。犯罪歴の抹消と、
新設部隊の部隊長になれると言われ、内ゲバで行き場を失っていた俺は、政府に寝返った訳さ」
どこか、自嘲気味に話すGの様子を見ると、相槌を打つのもためらわれた。
「新設部隊長とは言うものの、フタを開ければ体の良い小間使いさ。
改革メンバーからは裏切り者。
公安からは、過激な現場の第一陣として派遣させられる。まあ、死して骨を拾う者ナシって所さ」
私は新宿へと足を運んだ。
ノスタルジックな、感傷に浸る事を毛嫌いしていた私が、ゴールデン街へと足を運んだ。
本気で日本を変えられると、若さに任せて突っ走っていた頃、
よくココで、メンバーと酒を酌み交わした。
過ぎ去りし時代の、思い出の場所だ。
一哉の情報を探す為と、自分に言い訳するものの、実際は自分で消した過去との繋がりを探しているのだ。
そこで、思わぬ人物と遭遇した。
G。
民改の中心的存在だったGが、焼酎を浴びるように飲み、酔いつぶれていた。
「おい!」
私が声を掛けると、焦点の定まらない眼を向け、じっと私の顔を見つめた。
声を掛けた人物が、私だと理解したらしく、目に見えて酔いが醒めたようだ。
「ウサギ…」
「おい!どうしてお前が、公安特殊部隊を率いているんだ!
俺達に説いていたあの言葉はウソだったのか!」
「ウソなものか!ただ…」
「…ただ?なんだ?」
「ウサギは知らなかったかもしれないが、あの頃の俺は、内ゲバで命が危なかった」
「内ゲバだからって、命までは…」
「…お前、本気で言っているのか?本気で女帝尾上が、
命までは取らないと言っているのか?」
その言葉に、私は口をつぐんだ。
「お前も知っての通り、俺は当時、お前が付き合っていた遼子に思いを寄せていた。
麻奈美から付き合う事を強要された時、好きな人がいると言って断った。
それ以後、俺は明らかにメンバーから孤立させられていった」
「大倉は、味方になってくれなかったのか?」
「あいつはダメさ。尾上から一哉との仲を取り持つ事を条件に、女帝側についちまった。
結局、俺が抜けた後、尾上が一哉との仲を取り持たなかったのは大方の予想通りだが、
恋する乙女には、約束が反故にされる事は予想できなかったらしい」
「でも、どうして特殊部隊に…」
「そこさ。政府は俺達の猛攻に手を焼いていたのは事実だ。
機動隊の人員が減る割に、新規の隊員が育つには時間が掛かる。
そこで考えたのは、改革側のメンバーを機動隊員にしちまう事だ」
「まさか…」
「まさかも何も、現に俺が公安にいるんだから本当さ。犯罪歴の抹消と、
新設部隊の部隊長になれると言われ、内ゲバで行き場を失っていた俺は、政府に寝返った訳さ」
どこか、自嘲気味に話すGの様子を見ると、相槌を打つのもためらわれた。
「新設部隊長とは言うものの、フタを開ければ体の良い小間使いさ。
改革メンバーからは裏切り者。
公安からは、過激な現場の第一陣として派遣させられる。まあ、死して骨を拾う者ナシって所さ」
コメント